キスと魔王と紅茶 (ま〜まれぇど)


キスした瞬間に世界が変わる――
 
「ねえ、キスしてみない?」
 
学園の七不思議みたいなものは、どこにでもあるものらしい。
うちの場合だと、『魔王伝説』なんていう胡散臭い言い伝えがそれ。
でも少しだけ違うのは、それがホントになってしまったって事。
 
美貌の生徒会長・九曜更紗の突然の誘惑に流されたのが運のつき。
唇を重ね、気がつくと俺は……魔王になっていた。
 
「今宵、夜伽のお相手を務めさせて頂きます――我が君」
 
憧れの女性は下僕となってかしずき、俺は学生ときどき魔王。
それだけならともかく、勇者部なんてものが出来て、それが全員友人達だなんて。
 
本当は平凡な学園生活を送りたいのに、繰り返される魔王と部活動勇者の果てしない追いかけっこ。
でも一番困るのは、魔王になる事でも勇者役の友人達から追いかけられる事でもなく、この生活を楽しいと思い始めている事なのかもしれない。
 
そして今日もまた、俺はアルバイト魔王として夜の学園に舞い降りる――

紹介
ヌルっ!!
ブランドがブランドだから、そこまで真面目な魔王モノは期待していなかったけど、予想を遙かに超えるヌルっぷりは一回転して面白いほど。
第一、名門学校に特待生で入学し、成績維持にある程度以上の努力が必要な上、周囲の人間関係も円満。中二っぽい破滅願望もない主人公が自主的に魔王になる理由が何一つ無い挙げ句、主人公の魔王化を促した勢力の目的が「能力を自覚して自重してくれ」だもの。
この情況でどうやって話を進めるつもりなのかと逆に興味津々で進めたわけですが、まさかオープニングくらいしか魔王化の意味がないとは思わなかった。どんな企画書だったんだろう。最初。
主人公が常人に戻ってエンドが2種類、魔王のままなのが3種類のエンドがあるわけですが、知らない間に治ってた。はこのテのストーリーの今までに無かった解決法として燦然と輝くくらいのインパクトでした。投げ捨てるにも程がある。
魔王のままのエンディングに至っては、(外観的には瞳の色が紅くなる以外の変化はないから)カラーコンタクト付ければバレなくね?でホントに済んでいるところが、もう、なんて言うか、それで良いのかよと。
ここまでやられると、逆にOKなんじゃないかと思えてきます。
コメディモノとしてみると、子供せんせいの言動が全てのコメディの起点なので、アレが受け入れられるかどうかが全てじゃないかと。
非常に好き嫌いが分かれそうは暴れっぷりなので、真面目にこのゲーム買おうとしている人は体験版プレイ必須。
 
<追記>
>そして今日もまた、俺はアルバイト魔王として夜の学園に舞い降りる――って最後に一文あるけど、最初は金銭的な問題で魔王として勇者部と相手する流れにするつもりだったみたいですね。本編中にそんなシーン、一つもなかったけど。