神曲奏界ポリフォニカ1&2話 BOXエディション (ocelot)

KZA2006-07-11


 精霊が力を持つ世界があった。
 彼らは音楽を糧とし、ありとあらゆる場面でその力を発揮していた。
 精霊たちと契約し、彼らを操る者は神曲楽士──ダンティストと呼ばれ、人々の尊敬を集めていた。
 そんな神曲楽士を育成するトルバス神曲学院を舞台に、新たなる物語が始まる!

キネティックノベルっつーらしいです。
ぶっちゃけて言うと、選択肢無しのADV。目指すところはラノベの代替…ってところかなぁ。
通状のゲームに対しての利点は、
・選択肢がないので原理的にデバック作業の手間が激減する。
→原理上、予想されるバグは誤字脱字と表示される画像の指定間違い。画面効果のタイミング誤差程度しか無いと思われ、
→また、スクリプトを走らせるプログラムも新たに開発する意味は薄く、既存のプログラムの流用で済ませらせれるという点において、プログラム的なバグが発生する可能性は少なく、スクリプトの指定間違い程度の原因がはっきりしているバグくらいしか発生しないと思われ、
→また、ストーリーが一本道なので一回通しでプレイすれば修正漏れを起こす可能性も低い。
→(ぶっちゃけちゃえば、最後まで停まらないことだけ確認すれば、誤字脱字とかスクリプトの指定間違いなんかはユーザーがデバックをあとで修正ファイル出せば済むことだし)
・ルート分岐がないので、見かけのシナリオ量/画像量を多くできる。
→これは単純。そのまんまですな。
 
ラノベに対しての利点は、
・基本は平文のみのラノベに対して、画像+音楽+音声で表現が可能。
ラノベも挿絵は頑張っているんですが、如何せん数が少ない。(実は、同じ程度の文章量の場合、ラノベの挿絵の枚数もエロゲの1枚絵の枚数(差分含まず)も大差なかったりするんですが)
→キネスティックノベル形式だと、登場人物の喜怒哀楽だとか、場所がどこかなのかが実際に画面に出ているわけで。ぶっちゃけて言うと非常に楽なのですよ。読むの。(逆に情景を想像しながら読む人はどう思うのかはともかく)
 
当然、欠点もあるわけで、
文庫本の形態を取っているラノベに対して価格が高く、PCが無ければできないので携帯性に劣り、
フルプライスのADVに対して、拘束時間が少なく(これって利点だと思うんだけど…)、(もともと文庫本のゲーム化なので)シナリオが単体では完結しない。更に言えば、1話あたりの価格はADVに対して低価格でも、全話揃えると結構な金額ということも。
 
まぁ、綺麗に3竦みのトライアングルができるわけですな。
 
 
と、異常に長い前書きはここまでにしておいて。
 
デモムービーが燃えたので買ってみたのですが、充分楽しめる出来でした。
内容はまさにラノベのシリーズ第1巻としか言いようが無く、気弱で平和主義で自分の才能が解っていない主人公が世界最強種の精霊と契約しちゃってイヤボーンなんですが。
んで、このシリーズ独自のギミックが単身楽団(ワンマン・オーケストラ)で奏でる"神曲"と言うもの。
"神曲"自体は精霊に聴かせることでエネルギー源になる歌で、魂が籠もっていないと無効という設定。
精霊自体の能力も、放水口の口径が違うと言うだけで、貯水タンク自体の容積は契約者の"神曲"能力に完全に依存するみたいですな。
アカペラでも魂が籠もっていれば神曲としての効果はあるようですが、それをサポートするのが単身楽団。

↑"単身楽団"展開後
神曲を使える人間がほとんど居ないなら、ひとりでオーケストラすればいいじゃないっていうのは無茶だろ。とか、ランドセル型の背嚢から展開されるんだけど後ろに転けるだろ普通とか、そもそも収納できるはずがねぇとかいうツッコミしたら負けだ。
見事にお約束だらけなんだけど、面白いからいいや。
 
最大の難点は、タイトルの1-2話が示すとおりに完結していないこと…ではなく、発売済みの文庫版(1)(2)がゲーム版の数年後ということ。
…つまり、ゲーム版ではストーリー完結しないってことですか〜
『天』を読んでから『アカギ』を読んでいる感覚というか、最終的に主人公が勝つことが決定しているストーリーというのもなんだかなぁと。
いや、主人公側が全滅して終わるラノベなど存在しない(それはもはやホラーだ)っていう大人の事情はわかるんですけどね。