3days(LASS)


紅葉した木々と澄んだ空気に包まれはじめた綾篠(あやしの)市。


市内の学園に通う「高梨 亮(たかなし りょう)」は、幼なじみである「藤見 たまき(ふじみ たまき)」と、
代わり映えはしないが平穏で居心地のいい生活を送っていた。


あからさまなほどに好意を寄せているたまきに対し、幼なじみ同士の気恥ずかしさ故か、態度を決めかねている亮。


そんな『友だち以上、恋人未満』の2人の関係、そして平穏な街に変化をもたらす事件が起こってしまう。


2人の通う綾篠学園で有名な美少女、「柊 美柚(ひいらぎ みゆ)」が遺体となって発見されたのだ。


学園内はこの事件の噂で持ちきりになり、様々な憶測が飛び交う。
その中には彼女の身体がバラバラに刻まれていたとか、猟奇殺人犯が夜な夜な綾篠をウロついているとかいう、
半ば怪談じみた話もあった。


上級生の美柚に密かな憧れを抱いていた亮も、強いショックを受け、また犯人に対して激しい怒りを覚える。


たまきの心配をよそに、事件にのめり込んでいく亮。


だが、学生という立場では力が及ばないところが多く、情報収集すらままならない有様だった。


そんな不安と焦燥に駆られる2人に追い討ちをかけるかの如く、同級生の1人が飛び降り自殺をする。
2人は、偶然にも「その瞬間」を目撃してしまうのだった。


糸口すら掴めぬまま、狂気が蔓延する世界に投げ込まれた2人。
そんな非日常の中で、亮はようやく、たまきの深い愛情に気付きはじめる。


やがて2人は互いを求め、肉体的にも繋がることを望むが……


愛し合う2人の前に現れる黒衣の男


鋭利な刃物で喉を一突きにされる亮。


死の闇に沈んでいく亮の眼に最後に映ったものは、生きながらに解体されていくたまきの姿だった……


激しい憎悪と絶望の中、途絶える意識。


次に目覚めた亮の前に広がっていたのは、あの代わり映えのしない平穏な朝だった……


「……夢を……見ていた……ような気がする……」
「とても……とても嫌な夢を……」


惨劇の記憶すら消えてしまった亮。
何もかもが「殺害される3日前の朝」に戻ってしまっていた。


繰り返される3日間。


だが……亮は漠然とした不安と予感だけを頼りに、「あの3日間」とは違う一歩を踏み出しはじめる……


なにげに細々と出ているループ物。
「主人公がタイムスリップして〜」系は、一回だけ(青春よもう一度)と完全ループ系(繰り返す○○日から抜けられない)に枝分かれしますが、このゲームは完全ループ系です。


↑のストーリー紹介のように「殺害される3日間」を繰り返し、その3日間に起きる出来事を把握し、ある出来事は潰し、ある出来事はそのまま起こす…
とコントロールすることで、事件の全貌解明を行うことになります。


この方式の利点は、何回かクリアすることで各出来事の「原因」と「結果」を把握し操作することで臨場感が跳ね上がるのと、ストーリーのご都合主義感が薄れる(プレイヤー自らがわざとご都合主義起こしているわけですし)ところ。
難点としては、シナリオがあまりにも読みやすい場合、プレイヤーは「どう世故の事件の裏はこういうことだろう」って想像付いているのに、主人公が全然理解していないと臨場感が解離性に転じてやる気をなくすところですね。


まぁ、早い話、ライターさんの懐(適度に意外性のあるシナリオが書けて、裏ネタを"徐々に"出してストーリーを構成する力)がある程度深くないと、駄作一直線なわけです。


このゲームのシナリオは、まず及第点と言っていいでしょう。
「主人公の記憶もリセットされる(デジャブのように思い出すことはアリ)」という設定は珍しいのですが、そのためにテキストはほぼ使い回しで済み、その使い回しっぷりが未読選択肢選んだときの世界の広がりを逆に強調してくれます。
また、ループの原因は判明しても、その原因に手を出しようがないのでループから抜け出すのは不可能(出口がない迷路があるとして、出口の開閉装置が迷路の外にあれば、迷路の中の人(協力者なし)は手を出せませんね)な状況から抜け出す、主人公の裏技も意外性があってOKです。


まぁ、裏を返せばループから抜けた後の一本道シナリオはぐだぐだでしたが、ループシナリオ抜けるまではほんとに楽しかったので充分及第点です。


また、このゲームは「血まみれスプラッタ」的にも18禁とのことで(スプラッタ表現抑制モードも付いてる)そっちにも期待していたのですが、あまり数がなくて残念。
まぁ、生首,解体,リアル黒ひげ危機一髪,上/下半身泣き別れ@内蔵露出くらいですか。
普通のエロゲで出てきたら騒ぎ物ですが、このゲームは最初から公表しているので別段問題なしかと。


本来の18禁要素たるエロは…どうでもいいのですっ飛ばしました。