(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚できたら一攫千金!- (1)(2)(兔ろうと)


孤児院育ちのド庶民・フェルディアは、29ものバイトを掛け持ちする勤労少女。
ある日 持ちかけられたお仕事、それは敵国エルラントの皇子「毒龍公クロウ」こと、クロヴィス・クルヴァッハ・エルラントに嫁ぐこと!
しかもフェルディアに与えられた使命は、なんとクロウとの“円満”離婚で――!?

同名の小説のコミカライズ。
コミカライズっていうと、ほぼ全てが無難というか「もう少し頑張りましょう」レベルで読み終わったら三歩も歩く前に内容が抜けるシロモノか、残りの大部分が「こんな汚い○をわざわざ漫画に起こしてまで見せるな。テロか!?」レベルが普通に横行してまして、
読む側も話題の作品の情報を収集するときに、小説本何冊も読んだり映像を何時間も見るならコミカライズで薄く大筋を確認しておけばいいやという程度のものという認識ですが…
まぁ、各種マンガ論的漫画の中で語られているように、コミカライズ作品に関わっている中の人にしてからが、安い原稿料で文句もなく働く漫画家なら誰でも良いとか、オリジナル作品で売り出せるほどスキルが育ってない漫画家に実戦経験を積ませるため(だからコミカライズの評価自体はどうでもいい)とかいう例が多数ですからなぁ。
 
初手からだいぶ横にずれましたが、そんな死屍累々のコミカライズ作品の中でも数年に何点かは素直に面白いといえる漫画も出てきまして、この作品は珍しく大当たりでした。
作者名でググると、商業誌ではこれが初らしいんですけど、既にして安定した画力と原作小説を漫画表現に落としこむ表現力は一級品です。
 
漫画 全2巻で原作1巻の内容を書いたところで完結していますが、まさかコミカライズの続きが読みたくて原作小説全11巻を全部買わされることになろうとは…(しかもビーズログ文庫…)
 
変身モノとか入れ替わりネタ大好きな思考に、原作がガッチリ嵌ったところもあるとはいえ、凄い破壊力でした。
直前で読んでいたおとりよせ王子が漫画としては最底辺を突っ走っていたため、だいぶ精神的に立ち直らせていただきましたわ。